同一労働同一賃金について

同一労働同一賃金とは?   
            職務の内容、人材活用の仕組みが正社員と同じパートタイム労働者に対して、賃金や教育訓練の実施、
   福利厚生施設の利用など待遇について格差を設けることを禁止しています。
            さらに、正社員と非正規社員の間に待遇格差を設ける場合には、客観的かつ具体的な実態の違いが
   なければならず、将来に期待する役割が違うから、と言った主観的・抽象的な理由は認められません。

   ★「基本給」での取り扱い

1.正社員の「基本給」が職能給(職業経験や能力に応じて決定される)である場合
無期雇用フルタイム労働者と同一の職業経験・能力を有している有期雇用またはパートタイム労働者には
同一の基本給を支給しなければなりません
また職能給を○級△号俸といった職能資格で評価しそれに応じて基本給が決定される場合には、
有期雇用またはパートタイム労働者も同じ尺度で職能を判定し、それが正社員と同じレベルならば同一の基本給を、
またレベルに一定の違いがある場合には違いに応じた基本給を支払うことが求められます

  2.正社員の「基本給」が成果給(労働者の業績・成果に応じて決定される)である場合
無期雇用フルタイム労働者と同一の業績・成果を出している有期雇用またはパートタイム労働者には、
同一の基本給を支給しなければなりません

3.正社員の「基本給」が勤続給(勤続年数によって決定される)である場合
無期雇用フルタイム労働者と同一の勤続年数である有期雇用またはパートタイム労働者には
同一の基本給を支給しなければなりません

4.正社員の「基本給」が職務給(職務の内容によって決定される)である場合
有期雇用やパートタイム労働者についても、職務の内容に応じた基本給を支給しなければなりません
職務が違う場合でも、職務の難易度や価値の違いに応じた支給をしなければなりません

5.昇給について
定期昇給部分(勤続による職業能力向上に応じて行う昇給)について、有期雇用やパートタイム労働者に
対して、勤続による職業能力向上に特に違いが現れる場合を除いて正社員と同じ定期昇給カーブとすることが
求められています
★「手当」の取り扱い

   1.賞与について
正規雇用労働者と短時間労働者・有期雇用労働者とを比べ、職務内容(業務内容や責任の程度)・
人事異動などが同一の場合は均等待遇とすることを義務化
また派遣労働者の場合は、派遣先の労働者と均等・均衡待遇とするか、同種業務の一般労働者の平均的な賃金と
同等以上の賃金とするかの選択式となります
→一律にパート・アルバイトに対し正社員と異なる賞与体系をとることは「不合理」と判断されます!

2.役職手当について
責任の範囲・程度に応じ、パート・アルバイトに対しても支給が求められます
短時間労働者について労働時間に比例した分、低額とする役職手当は認められます

3.危険度や作業環境に応じて支給される特殊手当について
業務の危険度や作業環境が同一ならば、パート・アルバイトにも同一の特殊手当が必要です

4.交代勤務に対する手当について
パート・アルバイトにも同額の手当が必要です
ただし、採用時に交代勤務に就くことが明示され、その分基本給を高く設定している場合には不要です

5.皆勤手当や精勤手当について
一定日数以上出勤することで支給される手当については、当然パート・アルバイトにも同一の支給が必要です

6.通勤手当について
同一の支給が必要です
ただし、所定労働日数が多い労働者には定額の通勤手当を、出勤日数が変動する労働者には日額で通勤手当を
計算することは問題となりません

7.退職金や家族手当、住宅手当など
無期雇用フルタイム労働者への支給要件を満たす短時間・有期雇用労働者に対して、同一の支給が
求められるものと考えられます(ガイドラインでは記載されていませんが、同一労働同一賃金の
考え方から、支給すべきと判断される可能性が高い)
★「福利厚生」「教育訓練」の取り扱い

社員食堂や休憩室などの利用は無期雇用フルタイム労働者と短時間・有期雇用労働者の間に差別的取り扱いが
あってはなりません。
また慶弔休暇や健康診断に伴う勤務の免除や有給保障についても同一の取り扱いが求められます。
ただし、所定労働日数が少ない労働者については、勤務日を振り替える対応でも問題とはなりません。
また、現在の職務に必要な技術・知識を習得するために教育訓練を実施する場合には、
同一の職務内容であればパート・アルバイトにも同一の教育訓練を実施しなければなりません。

働き方改革 同一労働同一賃金

<施行はいずれも2020.4.1~ 中小企業2021.4.1~>
1.労働者が待遇差について司法判断を求める際の根拠となる規定の整備
正規雇用労働者と短時間労働者・有期雇用労働者とを比べ、職務内容(業務内容や責任の程度)・
人事異動などが同一の場合は均等待遇とすることを義務化
また派遣労働者の場合は、派遣先の労働者と均等・均衡待遇とするか、同種業務の一般労働平均的な賃金と
同等以上の賃金とするかの選択式となります

2.事業主の労働者に対する待遇に関する説明義務
有期雇用労働者を雇用する際、待遇内容についても説明義務が生じます
(短時間労働者や派遣労働者についてはすでに義務化済み)
短時間労働者や有期雇用労働者、派遣労働者が説明を求めた場合、事業主は正規雇用労働者との待遇差について
内容や理由を説明する義務が生じます。また説明を求めた場合に不利益な取り扱いをすることが禁止されました。

均等待遇は賃金だけでなく、教育訓練や福利厚生の分野にも及びます

★重要ポイント★
賃金や賞与だけでなく待遇それぞれについて同一であれば待遇差を禁止しています
例えば・・・   労働日全てに出勤することで「皆勤手当」を支給している場合、
パート労働者についてこの手当を設けない、ということはできなくなります

働き方改革 労働基準法改正点

1.時間外労働の罰則つき上限規制 <施行2019.4.1~ 中小企業2020.4.1~>
★法定労働時間:1日8時間、1週40時間 ・・・変更なし
★労使協定(36協定)を結んだとき、時間外労働の上限:月45時間かつ年360時間・・・変更なし
☆36協定に特別条項を設けていた時(繁忙期など):時間外・休日労働は上限なく可能(ただし年、6月まで)
→①休日労働の時間も含め、1ヶ月100時間未満
②休日労働の時間も含め、2~6ヶ月平均で80時簡以内
③時間外労働の時間数は、年720時間以内       と変更されました
※注意点※ 特別条項に上限が設定されたことに加え、上記①②では法定休日の休日労働時間も
計算に加える必要があるため、労働時間の管理体制の見直しが必要です

2.月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し(中小企業) <施行2023.4.1~>
現行、大企業のみ月60時間超の時間外労働に対する割増率50%を中小企業にも適用
(参考:通常の時間外労働割増率:25% 法定休日の割増率:25%、深夜労働割増率:35%)

3.年5日の年次有給休暇を確実に取得させること <施行2019.4.1~(全企業)>
1年間に10日以上の年次有給休暇(年休)を取得できる労働者に対して、毎年5日の年休に対して
時季を指定して取得させなければならなくなります
また、各労働者の取得状況を把握するために「年休管理簿」を作成しなければなりません

4.フレックスタイム制の見直し <施行2019.4.1~>
現行、フレックスタイム制は1ヶ月の所定労働時間を定めておき、その労働時間数になるよう労働者が
出勤・退勤の時間を自由に決めることができる制度ですが、この1ヶ月(清算期間という)を3ヶ月まで
延長できることとしました
ただし、清算期間を1ヶ月超にする場合には労使協定を労基署に届け出る必要があります
また1ヶ月ごとに区分した時の1週間平均の労働時間が50時間を超えた場合、その超えた部分に対して
時間外労働分の割り増しが必要となります

5.高度プロフェッショナル制度の創設 <施行2019.4.1~>
金融商品の開発、ディーリング(売買)、アナリスト(投資の調査分析)、コンサルタント(相談)を行う
年収1075万以上の労働者に対して、本人の同意・会社の労使委員会の決議がある場合、労働時間や休日、深夜の
割増賃金などの規定を適用除外とできる